佐賀城本丸歴史館と佐賀県文化財課は31日、佐賀市城内の佐賀城本丸跡の発掘調査で、差図(設計図)に描かれていない遺構が見つかったと発表した。地下に続く階段が新たに確認され、水場や抜け穴などだった可能性がある。本丸御殿は佐賀藩10代藩主の鍋島直正によって江戸時代末期に再建されており、県文化財課は「本来の姿を知るための重要な手がかりになる」とみている。
敷地の南東側で調査を進めていたところ、女性の居住空間に当たる「奥」と呼ばれた場所で、砂岩でできた6段分の階段が地下に伸びているのが見つかった。当時の地表から1・1メートルほど下るつくりで、水場や抜け穴、貯蔵庫、避難所などさまざまな用途が考えられるという。来年度に詳しく調べる。
県文化財課の渕ノ上隆介主査は「設計図は建物だけが描かれ、地下や水路は読み取れない。当時から、地下の構造まで加味した設計が実施されていたことが分かった」と話す。
調査では、佐賀平野の軟弱地盤に柱を据えるための「蝋燭地業(ろうそくじぎょう)」や「赤石積み地業」と呼ばれる基礎工法が採用されていることも明らかになった。「御側使(おそばづかい)」や「碁役(ごやく)」など役職名とみられる文字を書いた陶磁器も多数見つかった。
遺構を保存するために現場は埋め戻す。その前の2月3日に現地説明会を開く。問い合わせは本丸歴史館、電話0952(41)7550。
最終更新:2/1(木) 18:51
佐賀新聞
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